ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

『幼年期の終り』

「あなたは自分のお部屋にいらっしゃい。どうしてって?だって、それが一番安全だもの。そうでしょう?」

ゲームをしながらママの手づくりのお菓子を食べて、本を読んで。
ママに取り上げられちゃったゲームもあるけど、その方がいいのかな。
悪口を言うクラスメイトもいない。
勉強だって、無理にしなくていい。
ママに言えば一番良い方法を全部教えてくれる。

……でも、どうして?



始めは良かった。
地球に飛来した宇宙人はなんでも与えてくれて、問題の解決方法を優しく教えてくれる。

与えられた“非日常”への高揚感にワクワクした。
しかし、次第に居心地の悪さを感じるようになる。
全てを管理されて、刺激のなくなった“日常”への退屈。

そして湧き上がる“疑問”。
どうしてそこまで守られなければいけないのか?

「ママはあなたが羨ましいわ。あなたには未来があるもの。そうでしょう?」

未来?
どんな未来?
あれ、おかしいな。
みんな何処かに行くみたいだよ。
ホラ、お隣の子も、お向かいの子も。
私は行っちゃダメなの?

「残念だけれど、あなたは歳がいきすぎているから行けないの」

どうして?

「パパがそう決めたから。ママだって本当は行きたいのよ」



与えられたのは“平和”ではなく、“隷属”ではなかったか。
他の介入でコントロールしようとするのは、プリミティブな文化への否定ではないだろうか。
今まさに、ジャングルの奥地で行っていることと同じなのではないだろうか。


本作はどうもキリスト教思想が強すぎる様に感じる。
クラークの宗教観から見て、キリスト教へのアンチテーゼなのではないのかと思うのだがどうだろう。
なかなか消化できずにいる。







2017年、新訳地球幼年期の終わり【新版】 (創元SF文庫)が発行されました。
他に幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)も2007年に発行されています。

私が書いたレビューは1979年発行の福島正実氏訳の幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341)です。

福島氏のノスタルジックで温かみある文体がとても好き。

関連記事

| SF | 20:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://cittagazze.blog.fc2.com/tb.php/496-4b2f1575

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT