ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『黒蜥蜴』

小学校から帰ってくると、天知茂氏の演じる明智小五郎がバリバリっと変装を解いていたのを思い出す。
ちょうど再放送の時間だったらしく、来る日も来る日も明智小五郎と美女とが鏡の回廊などの妖しい場所で対決していた。
そんなこんなをサブリミナル効果のごとく叩き込まれ、それは私の一部になってしまった気がする。

その美女の一人に、きっと緑川夫人こと「女賊・黒蜥蜴」も存在したのだろう。
美しいものを子供のように愛し、欲しがる。
かくれんぼに興じながら小さな虫の羽をむしり取る事に楽しささえ感じる、無垢な子供の怖さを兼ね備えた女。


「(略)あたしの目的はお金ではないの。この世の美しいものという美しいものを、すっかり集めてみたいのがあたしの念願なのよ。宝石や美しい人や……」

「え、人間までも?」

「そうよ。美しい人間は、美術品以上だわ。(略)」



ダメだっ!
後半が「綺麗」より「気持ち悪い」になってしまってダメだった。
私のなかでは美しさよりもグロテスクの方に傾いてしまう。
というか、冒頭の裸踊りからワケワカラン。
私が乱歩を読み慣れていないからだろうか。
刺青が「黒蜥蜴」なのも理由が分からない。

では、どんな刺青なら納得するかしら、と考える。

……黒い揚羽蝶ではどうだろう?
我が家の庭には夏になると必ず来ては翻弄するように飛び回って、いくつもの花の蜜を吸っていく。
他の蝶にはない大胆さがある。
そして、黒い羽の下の方には血の様な赤い斑紋。

「女賊・黒揚羽」の方がいいなぁ。
生意気な思いと共に庭を眺め、また本に目を落とした。





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