ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

『ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言』

2013年、夏。
「貴婦人と一角獣」のタピスリーを、国立新美術館で見た。

飲み込まれるような真紅。
色とりどりの植物。
様々な動物たち。
オリエンタルな衣装を纏った貴婦人。
そして、天幕に書かれた「我が唯一の望み」という魔法のような言葉。

これを目にしたら作家でなくとも、何かしらのストーリーを頭の中で思い描いてしまう。


本書は二部構成になっていて、前半は原田マハが描く、サンドとブサック城の謎めいた女城主との不思議な夢のような物語。
後半はサンド自身が自らの著作『ジャンヌ』で描いたタピスリーへの言及部分と、ブサック城滞在中の日記の抜粋。

ブサック城でタピスリーを見たサンドが大きく心を動かされた様を、著者は甘美な物語に仕上げている。


読了後、美術館で買った図録を本棚から久しぶりに出した。
そして、目の前に広がったタピスリーを見上げた時を思い出す。
息を呑む麗しさと甘美さ……。

もし、ブサック城で、いや、美術館でも……誰もいない時にタピスリーと対面していたら……。
私にも貴婦人の声が聴こえてきてもおかしくはないのではないか。
そんな風に思わせてくれる一冊だった。


――わたくしの話をしましょうか。
わたくしの唯一の望みについて――聴いてくださいますわね?




【関連記事】圧巻!「貴婦人と一角獣展」
【関連記事】『貴婦人と一角獣』 トレイシー・シュヴァリエ著





関連記事

| 国内 | 17:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://cittagazze.blog.fc2.com/tb.php/489-12a5d3a5

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT