ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『金曜日の砂糖ちゃん』

酒井駒子ワールドを、じっくり味わえる3編。

明るいけれど、なんだか暗い。
暗いけれど、たぶん明るい。
なんだか、サイレント映画を観ているような感覚になる。

「金曜日の砂糖ちゃん」
原っぱでお昼寝をする女の子。
死んだように動かず眠ってる。
砂糖ちゃんは人気者。
お昼寝姿を見ているだけで、満足してくれているうちはいいけれど。

「草のオルガン」
夕方、音が出ないオルガンを見つけた男の子。
音はでないけれど、それがいい。
鍵盤は音じゃないものを連れてくる。
知らない道を通るのは、ちょっとした冒険だ。

「夜と夜のあいだに」
真夜中に目覚めた小さな女の子。
計画していたのか、思いつきなのかは分からない。
ただ、心にあったことがひとつ。
準備をして……出発……。


じんわり、じんわり、心に沁みこむ。
温かい紅茶に、角砂糖をポチャポチャと入れる。
溶けて崩れていく角砂糖を、ただ静かに見ているような感覚。

パタンと本を閉じると、映画が終わってもカラカラ回り続けるフィルムの音が聴こえる気がした。
角砂糖はまだ、溶けきっていない。




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