ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『アイヌ民族』

イランカラプテ!(こんにちは!)

本書は物語形式でアイヌに触れることができる。
息づいている登場人物たち。
ハルコロ、という名の少女をとおして描かれるアイヌの美しい世界は魅力的だ。

子供のころには醜い名前をわざとつけて、禍いから遠ざけるという習慣。
イオマンテの祭りの賑々しさ。
喜び、悲しみ。
神々と生き、村同士の争いは徹底的に討論で解決するという生き方。
対して、村を襲う一団の襲来の緊迫感もある。

千里眼を持つというアイヌのシャーマン。
特にシャーマンを兼ねるお産婆さんのインパクトが凄い。

年頃になると女性が施す刺青。

「ピリカ?(私、綺麗かしら?)」
そう訊ねる年上の少女の、ピンク色に染まった頬の色までが見えるようで。

喜怒哀楽豊かな、純粋な生き方に強く惹かれる。

本を閉じたとき、大自然のなかに身をおいているような感覚が残った。
大地に抱かれているような安心感。


ちなみに、私も学生の頃お世話になった雑誌『non-no』。
この「ノンノ」はアイヌ語で「花」という意味からつけられたのだそう。
他に、身近な日本語では「ラッコ」や「トナカイ」もアイヌ語からきている。
遠いようで身近な存在なのだ。

言葉は文化だ。
どんなに迫害されても、滅びないものはある。
DNAの中に連綿と培われてきたもの。
心を強く引き付けるもの。
昨今流行りの「ロハス」なんて、その最たるものではないかしら。

勿論、そこには「滅ぼさせない」と、強く守ってきた人々の苦しい歴史があるのも忘れてはいけない。
そのお一人である知里幸恵さん。
美しい文体が光る名著、『アイヌ神揺集』 も併せて、是非どうぞ。





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