ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

『清掻(すががき) 吉原裏同心(四)』 

清掻(すががき)とは、三味線が奏でる、いわば色町のBGM。
遊女が並ぶ張店の間、休みなく弾かれていたという。

吉原にとって、二月の書き入れ時といえば初午だ。
遊里の四隅には榎本稲荷、明石稲荷、開運稲荷、九郎助稲荷があって、特に遊女に人気だったのは九郎助稲荷だったとか。

しかし、吉原ではまだ田沼意次の凋落が尾を引いていた。
今度は自治を預かる四郎兵衛会所が、面番所によって閉鎖に追い込まれたのだ。

幕府公認の遊郭において、面番所は町奉行から派遣された与力や同心の詰所。
だが、網の目の様に複雑で独特の決まりごとの多い吉原のこと、自治は吉原育ちの男衆で構成された四郎兵衛会所が一手に担い、面番所に下手人を引き渡していた。

会所が閉鎖となると、もう悪行を働くものを止める者がいなくなる。
清掻の音色をのんきに聴いていると財布がなかった、なんてことも。

今回は剣劇要素も強くなり、アクションの面白味も増してきた。
道場通いを始めた幹どのに、汀女さんもホッとした様子だ。
糊口を凌ぐ為とはいえ裏稼業を続ける二人にとって、健康的に修業に励む若者たちとの交流は、陽の当たる場所であり、江戸で暮らしてゆくのだ、という実感を伴ったものではないだろうか。

権力争いの激しい城中の縮図が展開される吉原。
表からは四郎兵衛さんが、中間に汀女さんが、裏には幹どのが。
清掻の音色を守っている。




関連記事

| 吉原裏同心シリーズ | 18:41 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://cittagazze.blog.fc2.com/tb.php/418-1ebf7dbc

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT