ちった図書室 ~Bibliothèque de Cittagazze~

手当たり次第に読んだ本を手当たり次第に記していこうという、意気込みだけは凄い図書室。目指すは本のソムリエです。

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『虎よ、虎よ!』

「待て、しかして希望せよ!」 
   アレクサンドル・デュマ・ペール  『岩窟王 モンテ=クリスト伯』より



復讐ものの傑作のひとつとして名高い本作。
SF版『モンテ・クリスト伯』としても有名だ。

「ジョウント」と呼ばれるテレポーテーションが一般的な移動手段になった25世紀。
主人公、ガリヴァー・フォイルは宇宙を漂っていた。

搭乗している「ノーマッド」は大破し、彼の棺になるはずだった。
救難信号をキャッチしながら自分を救助せず、目の前を通り過ぎた宇宙船「ヴォーガ」を見るまでは。

見捨てられた憎しみにガリー(ガリヴァー)は生き返る。
生きる動機「復讐」だけを糧に棺から出たのだ。

そこからの復讐劇は憎しみという疾走感を伴なってどんどん加速する。
虎の入れ墨の男、というビジュアルも迫力満点だ。

がむしゃらに学び、名を変え、奪い、騙し、彫られた入れ墨そのままに野獣の様に襲い掛かるガリー。
彼と仇との間には「パイア」という物質が存在する。
それが何であるのかはラストで明らかになるのだが……。

「パイア」がどういう物かを知ったガリーは「目醒めよ」と言う。
世界中に向かって。
「漠然と生きるな」と、かつて復讐を誓った男が叫ぶのである。

それは最大級の信頼でもあるのではないか、と思う。
『モンテ・クリスト伯』で言うところの「待て、しかして希望せよ!」だ。

最後にジョウントした場所で、ガリーの心は今度は新たな生きる動機「信じるもの」へ向かって彷徨っているのかもしれない。



「お前は誰だ?」
「どこからきた?」
「いまどこにいる?」
「行先は?」







寺田克也氏によるカバー・イラストが最高!

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